食い逃げをする

今日、仕事が無事終わった帰路。
軽く夕食は食べたが、それでも腹が減ったので、コスタルモール付近で、屋台のラーメンを食べていた。
(なにしろ俺の家は遠いので、移動に備えてトイレとメシを万全にしてから、ゆっくり渋滞に巻き込まれたいのだ)

屋台のラーメン屋店主は、『苦労』という文字が顔に書いてあるようなババアだった。
味のほうは最悪。これまで食べた屋台ラーメンで、もっともまずい代物だった。
具は肉しかない。それも一体何の肉なんだといいたくなるような怪しげなものだ。
パティスもなければ水もない。普段なら食べない類の屋台だったが、それでも腹が減っていたので黙って食べていた。しょせん20Pである。

そーしたら周辺のガキどもが「警察!警察!」を騒ぎ出している。
近くにいるバロット売りだの、ピーナッツ売りだのが、くっそ大慌てで店じまい、というよりも屋台ごと走って逃げてる。
バロット売りなんて、商売道具の卵を、道路に散らしながら退散している。

プゥリース!プゥリース!(警察)ガキがうるさい。黙って食わせろよ・・・。
横を見ると、パトランプが確かに回っているが、それがなんだというのだ?
コスタル/KFCあたりはMMDAはじめ、警察なんて当然いるのだ。
俺はなにも悪いことをしていないので、警察かかってこんかいくらいの気持ちでいた。とにかくメシを食わせろ。

しかし苦労と顔に書いてあるおばちゃんは、明らかに動揺していて、店のものを大慌てで片付けている。
若い男が、売り物のタバコを一本くすねた。おばちゃんは気づきもしない。

俺の隣でラーメンを食べていた外人は、なぜか店じまいを手伝いはじめた。
どうも様子が変なのだ。俺はラーメンを食べ始めたところだったので、かまわず食っていた。

すると警官二名が、まっすぐ俺のほうに歩いてきた。・・・目はおばちゃんを見ている。
多分、賄賂が全然きいてない新顔なんだろう。だからガキが騒いだのだ。

屋台は、少しUターンしかけた、というところだった。なにしろ屋台はイスもあるしナベもガスもある。
簡単に撤収はできない。だいたい俺が食っている。それに警官から見てもっとも手前側だったのだ。

そう、フィリピン国家警察様の、「公道で屋台してんじゃねーよボケ一斉摘発じゃ!作戦」である。
17日からAPECがある。もちろんロハス大通りは、世界中の大マスコミ様から取材される。
かつて、マニラベイの公道ディスコが一掃されたのと一緒だ。
APEC、先進国大統領総理大臣クラスがマニラに来るときは、使う道は綺麗に清掃される。
こうなると、普段の悪徳なぁなぁ警察官のお目こぼしなど一切ない。ひどいときは屋台を目の前で壊される。
逮捕してもまたどうせ復活してしまうからだ。
大統領じきじきに命令がくだっていることも多い。こうなると、もうお目こぼしだの賄賂は通用しない。
そもそも屋台側が悪いのだ。ロハスはマニラの国道一号線のようなもので、この間大統領自ら、ロハスをなんとかしろと命令し、MMDAだけでは役不足ということで、交通整理に警察を導入したほどなのだ。しかもAPEC直前!
警察が仕事をするべき、全ての条件が揃っている。

特に交通渋滞を引き起こすロハスのど真ん中の、空港と接続する交差点を二車線も使ってるんだから、こりゃー屋台に分が悪い。普段は警察署の目の前で営業していても何も言わないのにねぇ。

まさかその作戦が、今日、俺が食っている最中に開始されるとは思わなかったwww

俺も、警官隊を視認して、さすがに『まだ残っているラーメンをすする』とか、隣の外人みたいに『店の片付けを手伝う』ということは、厄介ごとに巻き込まれる可能性有りだと判断した。残念だが、腹が減っている目の前で、食料はあきらめざるを得ない。

おばちゃんは、夜というのに早くも汗をかいている。漫画みたいだな、と思った。
外人はただの客なのに、見るからに共犯という風に店の片付けを手伝っている。いい奴なんだろうが、バカだと思った。

そんなんしていたら、ちょうど俺の乗るバスが、スルスルーと到着するではないか。
他の客らも散り散りバラバラに逃げているということは、ここに留まるというのは「ヤバい」ということなのだろう。
だいたい一斉摘発なんてのは、現場にいた奴らみんな捕まえて、あとで言い分を聞くというスタイルになるのは目に見えている。となると釈放されるのはAPEC後・・・早くて11/19ということになる。ただの客だって、どうなるかわかったもんじゃない。ここはフィリピンで、俺は弱い外人で、警官隊がガチで、なんでもかんでも捕まえるぜ!という目をしているのだ。

だがそこで、良心としての問題があった。カネをまだ払っていないのだ。

ああ・・・・おそらく唯一の財産資産であろう屋台を失いつつある、苦労と顔に書いてあるババアは、俺がまだ代金を払っていないことなど気にもとめていない。大体、いまこのタイミングで札を、警官の目の前で札を出すという行為自体、ババアの言い逃れができなくなる、とどめになる可能性がある。「商売やってただろ!」「やってません!」という中で、俺がカネを渡したら、ババアは言い逃れが苦しくなる。
この屋台は、おそらくババアの生活の全てだろう。この売り上げに、家族が10人くらいぶらさがっていて、ババアの売り上げで米やしょうゆ、幼稚園にいく金を手当てするのだろう。この屋台を壊されると、またマニラに少し、ガキの浮浪者が増えるだろう。もしかしたら死ぬかもしれない。たかが、お偉いさんが、車の窓からチョッとのぞいた風景が、綺麗か汚いかというためだけにだ。しかし、衛生面は後進国以下のド汚い屋台で、虫が浮いているラーメンを出している屋台は、いつかフィリピンから消えなければならないことも確かだ。

決してカネをけちったわけでもないが(20Pである。さすがにその程度の持ち合わせはあるし、もちろん払う気で注文している)結果として、カネを払うことなくバスに乗ってしまった。

まあ、十全なサービスを受けていないわけだから、料金は払わないという理屈は成り立つけども、一応食い逃げってことになるんだろうか?おばちゃんが無事ならば、次回払ってやるつもりだ。(マジで、たかが20Pくらい、気持ちよく払うつもりです)

店じまいを手伝った外人のほうは、おそらく共犯で捕まっただろう。パキスタン人に見えたが、インド系は厳しく当たられるからかわいそうだ。

ひとつ勉強になったのは、フィリピンで屋台やるなら、許可じゃなくて、機動力がいるってこったな。

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